中小企業事業承継の考え方①

コラム最終更新日:2024年7月30日

事業承継・M&Aコラム事業承継・M&A全般

中小企業庁の発表によると、2025年までに、平均引退年齢である70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人に達し、そのうち約半数の127万社が後継者未定と言われています。このコラムを読まれている経営者の皆様も、ご自身の会社の事業をどのように継承していくかについて考えられたことがあるかと思います。

今回のテーマは「良い事業承継とは?どのような事業承継をしたいか考えてみましょう」です。


事業承継の全体像で捉える

とある地方の優良企業の社長様と事業承継についてお話をさせていただいたことがあります。毎期素晴らしい業績を上げ、順調に事業を拡大しておられたのですが、その社長様が「事業計画は描けても、事業承継の計画が立てられない」とおっしゃっていたことが非常に印象的でした。

 

企業の経営マネジメントに長けた経営者様が、なぜ事業承継のマネジメントにこれほど苦労されるのでしょうか。私は、多くの経営者様が事業承継の全体像を知らずに意思決定を行おうとしていることが一番の原因ではないかと考えます。


部分最適ではなく全体最適を目指す

事業承継に関する情報を収集している経営者様は、日頃から様々な専門家から事業承継のアドバイスや提案を受けていると思います。また、セミナーやWEB媒体、書籍等で様々な事業承継対策に関する情報を得ることができます。しかし、それらは「事業承継対策」としての手法の提案や解説が多く、それぞれの分野からの部分最適解であることが多いのです。

例えば、

- 「事業承継対策として、持株会社を作りませんか?」

- 「自社株式の引き下げ対策をしませんか?」

- 「生命保険契約で納税資金を準備しませんか?」

- 「不動産で相続対策をしませんか?」

- M&Aで会社譲渡をしませんか?」

- 「後継者に経営者教育をしませんか?」など

これらの提案は部分最適であり、事業承継の全体像が整理できず、優先順位を考えるのが難しくなるものです。


早期の検討が重要

最も大切なことは、この検討を1日でも早く開始することです。事業承継は早く検討することにデメリットはなく、先送りにすると選択肢が狭まってしまいます。いざとなれば廃業すればよいと考える経営者様もいるかもしれませんが、せっかくこれまで築き上げた事業や従業員、その家族、そして取引先のことを考えると、廃業は本当に最後の選択肢であり、さみしいものです。事業承継は会社を経営する全員に共通する非常に重要な課題です。

まとめ

今回のコラムでは、中小企業の事業承継についての基本的な考え方をお伝えしました。次回は、事業承継を考える上での具体的な選択肢について解説します。


【コラム執筆者】

社員税理士 杉井秀伍

プロフィール:2016年4月より1年間、大手M&A仲介会社に出向、中小企業M&A業務の実務を経験する。その後税理士法人杉井総合会計にて税理士登録。日本最大のネットマッチングサイト「バトンズ」にて2020年ベストアドバイザー賞を受賞

保有資格:税理士、M&Aシニアエキスパート

支援実績等:学習塾事業・調剤薬局事業・旅客運送事業・金属加工業  等


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